#162 肺小細胞癌 (基本病変2 その3)
#162 Lung, small cell carcinoma, intermediate type
大半が腫瘍組織で占められている。この腫瘍は増殖活性が高い(分裂像がたくさんある)が、同時に著しい細胞死が起こっている。腫瘍内に虚血性壊死巣の形成と腫瘍細胞間にapoptosisが著しい。凝固壊死とアポトーシスの形態の違いをわかってほしい。(凝固壊死に陥った細胞は集団でみられるが、apoptosisは散在性である。apoptosisで断片化した核は、壊死細胞の濃縮した核よりもかなり小さい。)
バーチャルスライドでみる(一般公開停止中)

解説
腫瘍組織の下半分は虚血性の凝固壊死に陥っています。壊死の特徴である核の濃縮、消失と細胞質の濃縮が見られます。一方、壊死で濃縮した核の更に1/10 くらいの核の小断片が壊死部分にも壊死でない部分にも散らばっています。これがアポトーシス小体です。アポトーシスが頻発している組織に虚血が起こり、凝固壊死が起こると、壊死巣の中にもアポトーシスが見られます。もちろん「二度死んだ」わけではなく、アポトーシス小体を処理すべき隣の細胞が死んでしまったので、壊死の中でもアポトーシス小体が存続しているのです。この小細胞癌は(細胞質が未熟で乏しく、増殖も活発なので放射線感受性が高いことは理解できるでしょう。放射線を照射しなくてもアポトーシスがもともと頻発しており、照射によって更にふえるということです。