#165 進行胃癌(高分化型管状腺癌) (消化器系2 その8)

#165 Advanced gastric carcinoma, well differentiated tubular adenocarcinoma

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解説

解説用画像1
解説用画像2

まず、2番目の強拡大から見てみよう。癌腺管が、炎症細胞浸潤と線維増生の目立つ腫瘍間質の中に散在して見られる。腺管は不規則な形状(構造異型)を示し、核/細胞質比も大きく、細胞として未熟であり、核も多形性を示している(この核の所見は写真では見にくいので、バーチャルスライドで更に強拡大にして見ると分かる)。広い間質(腫瘍間質)には、腫瘍による組織破壊に反応して形成された線維性肉芽組織に、様々な免疫反応を反映した炎症細胞の浸潤が見られる。つまり、腫瘍間質の形成は癌細胞が浸潤した結果起こった反応を反映している。このような腫瘍間質は、粘膜内病変にはほとんど見られない。浸潤能力が十分ないからと考えられる。

ここで1番目の弱拡大の写真を見てみよう。大半は胃癌の粘膜下浸潤部だが、写真の右上に粘膜部の一部がみえる。粘膜下組織に浸潤したところでは、癌腺管と癌腺管との間に豊富な腫瘍間質が形成されているが、粘膜部は癌腺管が密集している。これは、粘膜部では癌細胞の浸潤性が低いために、腫瘍間質が形成されていないためと考えられる。バーチャルスライドで標本全体を見て、この説明通りかどうか、確認してみよう。