#194 肝, 急性胆管炎 (基本病変1 その他2)

#194 Liver, acute cholangitis with extensive ischemic necrosis

強い急性胆管炎に伴う敗血症で敗血症性ショック(→血圧低下)が起こったため、(もともと最も酸素に乏しい)小葉中心部に、虚血による肝細胞の凝固壊死と類洞の破綻による出血が見られる。(バーチャルスライドでは、壊死領域が濃いピンクに見え、その周辺の紫色の部位が生きている。)好中球は小葉中心の凝固壊死を溶かすために壊死細胞を囲んでいるものと、門脈域に見られる、細菌による急性胆管炎を反映したものがあり、後者は膿瘍(好中球が組織を融解してできた腔に好中球、マクロファージが密集)を形成し、胆管を破壊している。

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#1 急性虫垂炎 (基本病変1 その他1)

#1 Acute appendicitis, gangrenous

糞石が虫垂の内腔につまることで、虚血と細菌性の炎症が起こったもの。捻転と同様に、組織が圧迫されると、動脈血は流入するが静脈血が流出できない状況になるため、壊死部は強く血管が拡張し、出血を伴う。このような壊死巣が細菌感染した状態を壊疽gangreneといい、強い好中球浸潤を伴う。標本では、正常に近い部分、粘膜の出血性壊死はあるが、好中球浸潤の乏しい部分、そして、強い好中球浸潤の見られる部分を識別できる。

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#118 急性膵炎 (基本病変1 その6)

#118 Acute pancreatitis, mild, with fat necrosis

この標本には膵外分泌腺の腺房細胞の大きな壊死は見られないが、(別の部分で)腺房細胞より漏れ出したlipase、phospholipaseが活性化されて、周辺の血管を巻き込んで血流低下を来たし、脂肪組織にも虚血性壊死を起こすと同時に、細胞膜に穴を開け、脂肪を脂肪酸に分解し、そのため死んだ脂肪細胞はゴースト状に凝固する。一方、放出された脂肪酸はカルシウムと塩をつくり、白く析出する(鹸化 saponification)。この白い析出物自体は塩(金属石鹸)であり、真のnecrosisではないが、慣用的にfat necrosisと呼ばれている。(実際は、fat necosisに混在して脂肪細胞の凝固壊死も存在するので、fat necrosisということばはあながち間違いとも言えない。)

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#12 肺結核 (基本病変1 その5)

#12 Lung, tuberculosis (secondary)

結核で見られる乾酪壊死caseous necrosisは、(Tリンパ球の出すMIFによって金縛りになった)マクロファージの集団(これを類上皮肉芽腫という)の中心部が、酸欠死した虚血性の壊死。この壊死では結核菌のもつ豊富な脂質により、凝固が阻害されたことによる細胞の輪郭の消失を確認する。壊死が強いため、類上皮細胞の層が見にくいが、バーチャルスライドで標本全体を見ると、濃いピンクの乾酪壊死を囲む薄いピンクの帯として見える。そこには、(拡大すると)マクロファージの合体したLanghans型の多核巨細胞が散見される。

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#132 脳梗塞 (基本病変1 その4)

#132 Brain, cerebral infarction

脳の虚血による壊死は、豊富な脂質により凝固が阻害されるため、液化壊死の形をとる。壊死物質はマクロファージに吸収されて空洞化する。空洞壁に(脂質をいっぱい貪食した)泡沫マクロファージ foamy macrophagesが残っている。

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#15, 58 心筋梗塞(急性・陳旧性) (基本病変1 その3)

#15, 58 Heart, myocardial infarction (acute, old)

#15では冠動脈の閉塞による心筋の虚血性凝固壊死をみる。壊死部分の境界が明瞭であること、壊死の形態的特徴を確認する。正常心筋には、通常の心筋と、グリコーゲンを多く含み,細胞質が白っぽい(刺激伝導系の)特殊心筋とがある。内膜側の内膜直下に特殊心筋がある。壊死になっているのは通常心筋なので、見るべき境界は乳頭筋の部分ではなく、左室壁の中間層から外膜下での、壊死と壊死でない通常心筋との境界である。壊死心筋は好中球により融かされつつある
#58では壊死心筋が処理され、最終的に線維に置き換わった像がみられる。

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#253 慢性活動性肝炎 (基本病変1 その2)

#253 Liver, chronic active hepatitis

門脈域周辺の肝細胞索がリンパ球に攻撃されて融解し、切り崩され、リンパ球に置換されているpiecemeal necrosis(虫食い壊死)という液化壊死と、不規則再生(小型肝細胞が密集した、類洞の目立たない、中心静脈の無い結節)をみる。

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#273 急性肝炎 (基本病変1 その1)

#273 Liver, acute hepatitis

小葉内に散在するspotty necrosis(巣状壊死)という液化壊死をみる。リンパ球に攻撃されて小葉内の肝細胞が融解消失し、10個前後の小リンパ球の集団として認識される。もっと多くのリンパ球を含む門脈域と間違えないように。(再生反応を反映してグリソン鞘周囲の肝細胞が小型化している一方、小葉中心部では肝細胞が脂肪をためて変性・腫大している。この変性と再生のパタンが保たれていれば治癒できる、つまり急性。)

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