#108 早期胃癌(印環細胞癌, IIc) (消化器系2 その7)

#108 Early gastric carcinoma, signet ring cell carcinoma, IIc


バーチャルスライドでみる

(Rキーを2回押して、画像を回転させて観察してください。)

(サムネイル画像をクリックすると、バーチャルスライドビューアが起動します。)

解説写真とコメント

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まず、バーチャルスライドから見てみよう。粘膜が下向きになっているので、Rを2回押すと、180度回転し、粘膜表面が上になる。やや右側に粘膜が厚く見える部分が島状に見られるが、実はここが非腫瘍部分で、その両側の陥凹している部分がIIc病変である。その病変を弱拡大でみると、たくさんの非腫瘍性腺管が残っている(1番目の写真)。少し拡大を上げた2番目の写真では、非腫瘍腺管の隙間に細胞間結合の弱い癌細胞が見られる。癌細胞は粘膜中層では小型であるが、表層へ行くほど粘液を細胞質に貯めて大きくなり、印環細胞の形態となり(3番目の写真)、(がんであるにもかかわらず)増殖能を失う。ここでは、癌細胞が正常の胃腺で起こっている増殖と分化のパタンと同様に細胞更新をしており、そのような部分は地層のように増殖細胞と印環細胞が分布することから、私たちは「層構造」と呼んでいる。層構造では病変は専ら側方へ生長する。癌なのに、なぜ陥凹するのか、不思議であるが、これは、癌細胞が間質に攻め込んで、間質の反応を誘導するどころか、既存の間質に依存して生きていることを反映している。だから、癌細胞が増え、柱として粘膜を支えている正常腺管の密度が減ることにより粘膜が薄くなっても、癌細胞はおとなしく狭くなった粘膜で我慢している。(すぎはら)